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拡張期心不全に対する薬物療法確立はなお五里霧中:ARBの予後改善効果は確認できず
Irbesartan in Patients with Heart Failure and Preserved Ejection Fraction(I-Preserve試験)
これまで心不全は,心臓の収縮機能の低下によって発症する収縮期心不全が多いと考えられていた。しかし最近では,心不全患者の半数近くは,収縮機能は保たれているが拡張機能が障害されている拡張期心不全であることが分かってきた。拡張期心不全は,高齢者,なかでも女性に多く,高血圧がその大きな原因になっていると考えられている。社会の高齢化に伴い,ますます増加すると予想されるが,現在のところ確立された治療法はない。
そこで,ワシントン・退役軍人メディカルセンターのPeter E Carson氏らは,通常の薬物治療を受けている拡張期心不全患者に,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)のイルベサルタンを追加投与することで,予後が改善するかどうか検討を行った。
その結果,一次エンドポイントの「全死亡+心血管病による入院」はイルベサルタン群とプラセボ群との間で有意差がなく,二次エンドポイント(全死亡,心血管死など)やサブグループ別解析でも有意差はみられなかった。一方,安全性に関しては,両群間で有意差がなく,拡張期心不全に対するイルベサルタン投与は安全であることが示された。
今回の試験は,拡張期心不全に対するARBの初のエビデンスになるのではないかと期待されていたが,本疾患への治療の難しさを物語る結果となった。最後にCarson氏は,“In order for this field to move forward, a better understanding is needed of the mechanisms underlying this syndrome and additional potential targets for treatment.”と述べ,発表を締めくくった。
■試験の概要
| 対象 | 60歳以上の心不全症状のある拡張期心不全患者4,128例 ・左室駆出率45%以上 ・ニューヨーク心臓協会心機能分類(NYHA)II~IV度で 過去6カ月以内に心不全による入院あり,もしくはNYHA III~IV度 |
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| 方法 | 多施設共同・無作為化二重盲検プラセボ対照試験 イルベサルタン群(75mg/日で開始し300mg/日まで増量): 2,067名 プラセボ群: 2,061名 |
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| 追跡期間 | 49.5カ月 | |||||||||||||||||||||||||
| 結果 | intention-to-treat解析
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