Hot Topics --- At a Glance
3500年前のミイラに心臓病が見つかる
Researchers discover heart disease in 3,500-year-old mummies
エジプト考古学博物館に所蔵されているミイラをCTスキャンしたところ,約70%のミイラで血管や心臓が見つかり,そのうち約半数で明らかなアテローム性動脈硬化もしくはその疑いのあることが判明した。動脈硬化性の心臓病を現代病とは言えなくなりそうだ。(ニュース記事)
スタチン服用患者に対し,善玉コレステロールを上昇させるナイアシンの追加投与でプラーク形成が抑制される――悪玉コレステロールを下げるエゼチミブでは効果示せず
In patients on statins, raising good cholesterol with niacin, but not reducing bad cholesterol with ezetimibe, decreases plaque build-up(ARBITER 6-HALTS試験)
スタチン治療中の心血管病既往患者に対するナイアシン(ビタミンB3)の追加投与は,エゼチミブよりも14カ月後の頸動脈プラーク形成・心血管リスク抑制効果が高かった。また,エゼチミブを追加投与した患者ではLDLコレステロール値の低下がプラーク形成の亢進と有意に関連するという,従来の知見とは相反する結果となった。 (ニュース記事)
心臓バイパス術後にうつ病になった患者のQOL・心的状態改善に,医療連携によるケアが有効
Collaborative care improves quality of life, mood of depressed cardiac bypass patients (Bypassing The Blues試験)
冠動脈バイパス術後の8カ月間,うつ病になった患者に看護師が電話でケアをする医療連携治療を行ったところ,通常のうつ病治療を行った患者よりうつ状態スクリーニングで良いスコアが得られた。バイパス術後のうつは多く,いくつかの試験が行われているが,実際に効果があったものは少ない。
バイパス術後1年の静脈グラフト病抑制効果で,アスピリン単独投与は2剤併用抗血小板療法と同等
Aspirin alone as effective as dual antiplatelet therapy in preventing vein graft disease one year after bypass surgery(CASCADE試験)
冠動脈バイパス術後の静脈グラフトの内膜過形成を抑える効果は,アスピリン単独投与とアスピリンにクロピドグレルを加えた2剤併用療法との間で有意差がみられなかった。1年後に血管内超音波法(IVUS)により内膜面積を測定して比較した。
PCI施行患者に対し,新規の可逆性抗血小板薬は非可逆性既存薬の効果を超えられず
New reversible antiplatelet drug no more effective than irreversible one in PCI(CHAMPION PCI試験)
新規薬剤のADP受容体P2Y12拮抗薬cangrelor(PCI前~術中静注)はクロピドグレル(PCI前投与)と比べ,PCI後のイベント抑制効果で優位性が認められなかった。一次エンドポイントは48時間後の複合イベント(全死亡+心筋梗塞+虚血が原因の血行再建術)だった。血小板への作用が不可逆性であるクロピドグレルに対し,cangrelorは可逆性でかつ作用発現が迅速なことから,PCI施行中の抗血小板薬として虚血イベントのリスク低減が期待されていた。
PCI施行患者への新規・抗凝固薬は一次エンドポイントで優位性を示せず――死亡とステント血栓症は減少
New blood thinner for angioplasty patients not superior for primary endpoint, but did reduce death and stent thrombosis(CHAMPION PLATFORM試験)
CHAMPION PCI試験では術前から試験薬が投与されたが,本試験では術前はなく,cangrelorの術中静注がプラセボと比較された。一次エンドポイントである48時間後の複合イベント(全死亡+心筋梗塞+虚血が原因の血行再建術)は両群間に差がなく,二次エンドポイントの48時間後の死亡とステント血栓症で各々cangrelorの有意な抑制効果が認められた。
心不全患者へのアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)の高用量投与は効果的
High dose of angiotensin receptor blockers effective in heart failure patients(HEAAL試験)
ACE阻害薬不耐性の心不全患者にロサルタン(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬;ARB)を高用量で投与すると,低用量投与よりも5年後の心不全による入院リスクを低下することが分かった。臨床予後でARBの用量依存的な効果が認められたのはこれが初めて。(ニュース記事)
心不全患者の反応性によって用量を決めるテーラーメイド投与法がより効果的
Tailoring drug dose to heart failure patients' response more effective(J-CHF試験)
日本人心不全患者に対するカルベジロール(β遮断薬)の最適な最小用量を知るため,患者を低(2.5mg)・中(5mg)・高(20mg)用量の3群に分けて約3年間追跡したが,複合イベント(全死亡+心血管病による入院+心不全)で3群間に有意差はみられなかった。一方で,BNP(B型ナトリウム利尿ペプチド)と心拍数の変化はどちらも予後と有意に関連していた。これらの指標を用いたテーラーメイドの投与法が有用と考えられる。
急性心臓発作患者のPCI後1年の死亡率は,心臓外科のある病院もない病院も変わらない
One-year mortality similar in patients undergoing angioplasty for acute heart attacks at hospitals with and without cardiac surgery capability
心臓外科のある病院とない病院とで,急性心筋梗塞患者に対するprimary PCI施行後の予後を比較したところ,30日後,1年後の生存率に違いがないことが分かった。ただし,心臓外科のない病院では30日後の心筋梗塞再発,血行再建術再施行のリスクが有意に高かった(1年後は血行再建術再施行のみ有意差あり)。米国・マサチューセッツ住民の1年追跡データより。
新規・可逆性経口薬がprimary PCI施行後の心血管イベントを抑制
New reversible oral drug reduces cardiac events in primary PCI patients(PLATO試験)
PCI 施行1年後の心血管イベント抑制効果で,新規の経口抗血小板薬ticagrelor(ADP受容体P2Y12拮抗薬)の継続投与は,クロピドグレルよりも有意に優れていることが示された。ticagrelor投与による大出血性合併症の増加もみられなかった。クロピドグレルへの優位性を示せなかった同系統の薬剤cangrelorの試験結果(CHAMPION)とは対照的な結果となった。
今回取り上げた演題は,最先端の試験結果が報告される学会の目玉セッション・Late-Breaking Clinical Trialsからの10題と,古代ミイラという異色の試験対象が話題となったポスター発表1題を加えた11題。ミイラにも動脈硬化があったというその試験結果は一般紙にとってもインパクトが強かったようで,発表翌日,Wall Street Journalは一面に写真付きでこの話題を紹介した。


